非日常的な時間

2018/07/04 (��) 21:06 | Thinking

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 前々から機会があれば行きたいと思っていた鉄板焼き料理の老舗
「うかい亭」へ行くその時がやってきた。梅雨の土砂降りの日、二人の姪と店で待ち合わせ。

 
 店内は純粋な和風と想像していたがヨーロッパ風のインテリアだ。
唯一日本風は、入口を入った左右の壁に樹齢100年の欅の梁が際立っている。周囲の色合いに、この梁の色と直線がアクセントになり調和のとれた空間を創っている。

  席に案内されるまでの広い廊下は、天井から豪華なシャンデリアが光っている。床には黄金色の絨毯が敷かれている。雨に濡れた靴で汚さないように
恐る恐る歩いた。壁の一部には城の石垣のような石が一つの塊になって壁の一部を成している。
  彫刻された大きなキャビネットには高価そうなガラス、銀の調度品が数多く飾られている。骨董品の鏡、テーブル、飾り棚が良い間隔に置かれている。ヨーロッパ的な雰囲気と言うのだろうかまるで宮殿の中にいるようだ。

   私ら三人は席に案内された。半円形になっているカウンター席。目の前に磨かれた鉄板が輝いている。鉄板の先に目をやると、海中の風景、魚や貝や波が描かれている小さなタイルのモザイクの装飾台がある。新鮮さが満ちる爽やかな色が実に綺麗だ。実用を兼ねて魚や野菜、飲み物などが置かれているのがまるで絵のようだ。(写真1)

  さて本命の鉄板焼きは魚、黒毛和種の肉、オマール海老(カナダ産)と付け合わせの旬の野菜が目の前で調理される。
シェフは食材の産地や焼き具合を話題にして私らと言葉を交わしながら機敏にそして誇らしげに仕上げていく。

  これぞこの最上級の鉄板料理の極意なのかしらとその美味の一皿一皿に感動した私たち三人……。全てが新しい味覚!

  自慢のソースはフレンチ風と店の独創的なソースの融合だ。
  魚やはまぐりの出汁、大葉、味噌、醤油。花生姜、マヨネーズ、ケチャップ等……これらの材料を使っていくつものソースが魚、肉、海老に
用意された。当然のこと、私らには分からない調味料や材料も使っていた。

  ソースが余ればフランスパンのバゲットと一緒に召し上がれとバゲットがいつも皿に盛られている。もうフレンチスタイルそのものだ!
  昔、妹と幼かった姪らとフランスで経験したフランス料理とバゲットの
エピソードを思い出して可笑しくなった。

締めのガーリックライスが鉄板に料理された頃はもうご馳走に満腹だ。それなのに壬生菜の漬物とすんなり平らげてしまった。

  和の食材とフレンチ風の味付けの和洋折衷料理は素晴らしかった。
  五感で楽しむ料理と言っても大げさではないかもしれない。

2

いよいよデザートの時間だ。シェフにお礼を述べた後デザート用の広間に案内された。他の客たちがテーブルを囲んでくつろいでいた。

   ゴブラン織りの心地いいソファとテーブル。天井には一列に吊られたペンダントライト。淡い色合いのステンドグラスから美しい模様が浮き上がっている。温かみのある明るさに周囲が包まれている。異国情緒たっぷりだ。広間の隅々までインテリアのこだわりが伝わってくる。この空間で存分にくつろげるなんて素敵だ!……。
 

  私ら三人は、コーヒーとデザート菓子(写真2)を楽しみ非日常的な余韻に浸り今日を振り返った。過ぎる時間を惜しみながら。

  鉄板焼きと洒落込んだこの日、姪らに常日頃の感謝の気持ちを伝えたかった……私。
  三人で贅沢な時間を過ごせて嬉しかった。またいつかこんな旨い!日が来ることを願おう……。