旅の味わい

2004/10/17 (��) 09:47 | Le Pont, Passion

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長年の旅(ラテン・アメリカに6年、アジアに9年)の後でも、私はまだ予期せぬことに出会う喜びやずれ感覚の味が忘れられない。インドは、今日もなお、この風変わりな印象、この創造意欲を燃え立たせる詩的な感性を与えてくれる国である。私の西洋文化の目印が一掃されてしまう国に飛んできて、内的冒険の網目を織りなすであろう私の驚嘆、歓喜、時には私の拒絶である(写真1)。

楕神性が肌で感じられ、目で磯かめられ、街や日常生活に広がっているインド。これは画家であるだけに一層刺激的な冒険。

ヒンズー教の信仰は、寺院の中に閉ざされていない。聖なる信条は、インド人の日常生活に宿り、動作の端々に見られる気品に現れている。

明け方、マハーバリプラン(タミール ナデュ)の町の一角にある小さな通りに張り出した私の家のテラスに身を落ち着け、地面に坐って話をしたり、洗濯したりしている女性たちの姿をじっと眺めたり、デッサンするのが私は好きである。色鮮やかなサリーを王女のように着飾った彼女らは、水がめを素早く取り上げ、それを腰に固定させ、その重さにもかかわらず軽い足取りで家まで運んで行く。その後、ゆっくりと長く豊かな髪を整え、ジャスマンの花飾りをつける。(写真2)

はしゃいだ子どもたちは、好きな遊びに没頭し、雌牛は自由に遊歩している。朝の日の光に身体を温め、たっぷりと出してくれるスパイスのきいたご馳走にありつこうと家々の前に立ち止まる。

黄金の塵の輝きに包まれた永遠の瞬時、私がアトリエで再現し、再発見する絵画的喜び。

夜明けが闇を追い払い、寺院でシヴァの神をおおいに褒め称えた後、女性たちは自分たちの家の戸口でせっせと働く。しゃがみ込んだ彼女たちは、優美な手まねで一心に神の慈悲を請うモチーフ、コラム、一日限りのはかないデッサン、幾何学的な細い線の組み合わせ模様、時には宇宙を意味する曼茶羅を象徴するような非常に複雑なものまで、カラーの粉末を使ってデッサンする

しかし、色彩の壮麗さはなにもコラムに特有のものではない。壁には政党の象徴が確かな腕の持ち主によって猫かれている:マンゴー、朝日、花。所々で塗料が剥げ落ち、前に描かれていた絵の色彩が現れて、壁がまさに絶えず変化する抽象絵画になり、その上に棕櫚の葉の影が落ちる。

今日はポンガルで、春の到来を祝う一年のうちで最も重要な祭りの日である。これは農民のお祭りで、彼らの仕事に関係するありとあらゆるものに対し敬意を表する;道具類、牛車、雄牛、そして雌牛はもちろん祭りの女王となる。

今朝、私は近くに住むスミトラさんとアミュさんに会い、砂糖きびで煮た米、カルダモン、カシューナッツの入ったポンガルの鉢を前に横たわってピンクの舌を出した大食いの雌牛の大きなコラムを描くことになっている(写真3)。
一緒に、この悦楽を分かち合う喜び、輝かしいひと時、生きる術。
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ヴェロニック・ネルー

画家、肖像画家
パリ美術学校卒業
1995年以来、アジアを旅する(インド、ネパール、タイ)
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