夏休み

2016/09/07 (��) 16:07 | Thinking

一日目

The Matsumoto Castle

The Matsumoto Castle

Kisei Culture Hall

Kisei Culture Hall

夏休みと言っても勤務していない私はいつでも休みはとれるのだが夏は少し遠出をし非日常的なことにめぐあり会えるので夏の休みは格別だ。
8月中旬に妹と軽井沢へ行く予定だったが、急に妹が行かれなくなってしまった。なので一人旅となり急遽行き先を変更した。同じ長野県でも松本市と安曇野市にした。
松本市にはかねがね行きたいと考えていたが実現しなかった。Seiji Ozawa Matsumoto Festivalに行きたいと毎夏思っていた。そして今回その期間中だったので嬉しかった。
小澤征爾氏の指揮する日の切符はすでに数ヶ月前から完売。それでも運良く二つのコンサートの切符が購入できた。一つはイタリア人のファビオ・ルイージ(Fabio Luisi)指揮でサイトウキネン・オーケストラ。もう一つはミケランジェロ弦楽四重奏団。
オーケストラコンサート会場は、北アルプスと美ヶ原高原を背にして緑に囲まれた中にあるキッセイ文化ホール(松本文化会館)で行われた。
演目はマーラーの交響曲2番ハ短調「復活」。100名近いあらゆる楽器の演奏者、
同じ数の合唱団さらにソプラノとアルト歌手2名。錚々たる組み合わせだ。
プログラムノートの中の音楽評論家の広瀬大介氏の言葉を引用させていただくと、「・・・・・交響詩、歌曲そして交響曲が互いの境界を超え、緩やかに一つの作品となって結実するマーラーの作曲技法によって、この後第4番までは、このような『ハイブリッド交響曲』が生まれていくことになる」とある。
まさにそのような感じのする曲に引き込まれる感動的な時間だった。休憩時間の無い1時間45分だった。かなり前だがボストン郊外の野外コンサートで小澤氏指揮のマーラーのコンサートに行ったことがあるがその時も熱狂的な拍手が止まず観客はなかなか席を立とうとしなかったたことを思い出した。

さてコンサートまで時間があったので宿泊先から5分の所にある国宝松本城を見学。お堀に写る松本城は美しかった。お城から南へ松本駅に伸びる大名通りを散策。街並みはお蕎麦屋さんを多く目にしたほかは洒落た店がたくさん並んでいる。しばらく歩くと四柱(よはしら)神社と呼ばれる神社がある。松本市の中心に位置する。明治初期に建立され、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)、高皇産霊神(タカミムスビのカミ)、神皇産霊神(カミムスビノカミ)そして
天照大神(アマテラスオオミカミ)の四柱の大神が祀られている由緒ある神社だそうだ。早速お参りをして朱印をいただいた。お参りの好きな私を何かいい気分にしてくれた。

Shinshu Soba

Shinshu Soba


コンサート会場に6時半までに着くように行くので、早めに夕食をとることにした。勿論信州蕎麦だ。蕎麦は大好きで信州蕎麦を心待ちにしていた。
宿近くの蕎麦屋さん(後に数回通った)。どこの蕎麦屋さんでも入り口は地上より少し低い感じがした。中は薄暗くて目が慣れるまで待つ。水差しにいっぱい入った冷たい蕎麦茶が出る。暑さで火照っていた体は徐々に冷やされる。目が慣れた頃に注文の蕎麦が来る。自分で擦るわさびは新鮮そのものだ。期待した通り美味しい!美味しい!腹ごしらの後、コンサート会場へと出発した。

二日目

Matsumoto City Museum

Matsumoto City Museum

Matsumoto City Museum

Matsumoto City Museum

午前中からゆっくり時間をかけて松本市美術館へ。
松本は草間彌生氏の出身地だ。なので彼女の幼少期から今に至るまでの作品が多数展示されている常設展だ。幼少期の暗い感じのするデッサンから現在の派手な色使いの水玉模様の作品そして最新作「わが永遠の魂」シリーズ。
この美術館でしか体験できない彼女の原点に触れることができたのではないかと思った。

その傍ら同館で、山の日制定記念の「遥かなる山」展が開催されていた。作品の大半は日本アルプス、美ヶ原、槍ヶ岳、白馬岳だが他の地方の山々なども多数だ。
明治三十年代に地理学者、測量師、山師たちと画家たちは山に入り神秘的で荘厳な風景を油絵、水彩、木版、などの技法で描いた。
松本市美術館所蔵の多くの作品に加え全国の美術館や個人所蔵から集めた120点以上の作品が飾られた会場はまさに壮観そのものだった。
登山の装備が現在のようでない明治、大正時代の岳人画家と呼ばれた画家たちはどんな履物や服装をして登りどんな道具を持って登り絵を描いたのだろうと思いを馳せた。
シンプルな構造と色使いだがキャンバスに描かれた油絵は力強さに満ちている作品が多くあった。この展覧会に巡り合えてよかった。休み休みたっぷり時間をかけて観て回った。
美術館を出て徒歩で15分ほど歩き、パルコのある繁華街周辺を観光しながらついでに個人商店で果物数個を購入。それからお蕎麦屋さんで遅いお昼。お蕎麦はどこで食べても美味しかった。大好物のお蕎麦に囲まれて幸せさえ感じてしまった私でした……。
道の所々に湧き水の蛇口ありそこで水を飲んだりペットボトルを満たしたりできるので私もペットボトルに水をもらった。美味しい水だ。
荷物を置きに宿に戻ってからコンサートのある音楽文化ホール別名ハーモニーホールと呼ばれている小さめのホールへ向かう。松本市の西の島内という所にある。車で15分ぐらだ。樹木で覆われたホールは心休まる。Seiji Ozawa Matsumoto Festivalと書かれた腕章をつけたスタッフさんたちが誘導している。
コンサートは16時に開演した。
演奏はミケランジェロ弦楽四重奏団。特別参加のチェロ演奏者とヴィオラ演奏者が二名いた。ポッケリーニ、バルトークそしてブラームスの弦楽四重奏、五重奏、六重奏曲の演奏だった。本当に聴き入ってしまう豊かな2時間を楽しんだ。
ミケランジェロ弦楽四重奏団は国際的に活躍していてヴィオラ演奏者は日本人の今井信子さんだ。
感動の余韻にひたりながらホテルに戻り夕食をとった。長野県産野菜をたっぷり使ったフレンチ料理は美味しかった。そのあと部屋で果物を食べながら翌日の計画を立てたり最終日のリオオリンピクをテレビでチェック。

三日目

Sky

Sky

安曇野市へ行くのだが、電車で行こうと調べたが穂高駅までの本数が少なかったり穂高駅からの交通手段に不安があったので結局タクシーを半日(5時間)貸し切った。距離にして安曇野市までは15キロ程度で遠くない。安曇野市で行きたい所の二カ所は決めていた。ジャンセン美術館とわさび農場だ。それと田園風景を楽しむことだった。予定外に他に立ち寄った所もいくつももあった。
10時半に出発してジャンセン美術館を目指した。松本市を出て北アルプスの東山麓を南北に走る県道25号線通称山麓線と呼ばれている県道を走る。その山麓線で車の窓からのんびりとした美しい田園風景を満喫した。大きな青い空、白い雲と緑の山も雄大だ。
進行方向の左側には犀川が流れている。犀川はやがて上高地から流れている梓川と合流して千曲川に流れて、日本海へ。

Jansem Museum

Jansem Museum


Jansem Museum

Jansem Museum


最初の目的地はジャンセン美術館。アルメニア人のジャンセンは幼少の頃に家族とフランスへ渡り、美術を学んだ。彼の人生に刻まれた戦争によって生と死を見つめる作品、極端に光と翳の絡み合う油絵が印象的だった。薄暗い小さな三つの展示室では、私一人だったのでソファに座ってゆっくり鑑賞することができた。受付の女性が親切にジャンセンの生涯について地図を示しながら説明してくれた。またここは世界で初めてのジャンセン専門美術館として、また個人コレクションを公開する私立館だということだ(700点を収蔵)。世界の美術館でジャンセンの絵画は展示されているが、世界をとうしてこれほど多く集められた美術館はないそうだ…..。ゆったりとした時間を過ごしてから再び田園地帯を走る。安曇野公園、鐘の鳴る丘、天蚕センターをざっと見学して碌山美術館へ。高村光太郎の彫刻と高村智恵子の油絵と紙絵だ。三つの建物で会場が成りたっている。緑の林の中で会場から会場へ移動するのは趣があって気に入った。
碌山美術館を後にして、次の目的のわさび農場へ。
Wasabi Farm

Wasabi Farm


Wasabi Farm

Wasabi Farm


このわさび農場は15万㎡という広大な農場で観光スポットにもなっている。
北アルプスとわさび田の絶景を眺めながら散策ができる。その散策とお昼ご飯を楽しみにしていた。
美しい水辺、綺麗に7〜8区切りに整頓されたわさび畑、ポプラ小道、展望台、神社、レストラン、蕎麦処、名水百選水飲み場…….。しばらく散策してからお昼ご飯にした。わさび三昧でわさび丼、鰹節とわさびの茎をのせたご飯にわさびを擦ってかける。お供にわさびジュース。最後にわさびソフトクリーム。
暑いその日にはピリッとする味覚がぴったりだった。
今日が最終日と思うと名残惜しい。写真も撮ったが、農場内をしっかり自分の目で見おこう観光客に混ざって食後の散策を楽しんだ。気がつくとすでに午後3時を過ぎてしまっていたので急いで土産屋さんに寄ってから車に戻った。
Landscape

Landscape

Tanbo Art

Tanbo Art


さてこれから松本市へ戻る。行きとほとんど同じ田園風景の中を走っていく。道中、松本市の手前の島内という所で田んぼアートを見学した。
信州松本・大歌舞伎の関連事業で、中村勘三郎の魂を継ぐ二人の孫の初舞台を記念して行われたプロジェクトだ。青空を背に素晴らしい田んぼアートだ。「門出二人桃太郎」だ。直に田んぼアートを見たのは初めてだった。

三日間の夏休みは終わりに近づいた。自然に漬かった日々に満足だ。
学生時代に、スキー、登山、ハイキングと何回も長野県に来ているがその頃は数
人の友達グループだった。登山やハイキングやスキーをとうして自然の魅力や凄さを共有するのが嬉しかった。でも今回は一人旅。それはそれで思うままに行動ができ感じることも若い頃とは違って素敵な旅だった…。
四日目は、午後の電車で東京へ帰る予定が、台風が関東地方接近となり新宿行きの電車が運休となってしまった。なので松本から信濃電鉄で長野に行き、そこから新幹線に乗り継いで東京に戻った。松本から長野までの車窓から眺めは相変わらず美しく、最後の最後まできれいな景色を眺められて嬉しかった。
自然と音楽と美味しい食べ物に感謝!感謝だ!それに一人旅ができる体力を持っていた自分に感謝だ!