2004/10/17 (��) 00:50 | Kaléidoscope, Le Pont

「味」と、テーマに決めたのは、世界中の人を引き付けるパリの都市がどんな風に味わい深いのかに興味を持ち、身近かにあるいろいろな分野から、その意識を持ってパリと接し始めた時だった。そして、この個性的な都市に生きる人々が考える「味」の物語りを発義させていただくことでお互いにどこかで共有や共鳴があり、新しい発見もあるだろうと思った。

わたしの取り組んだ「味」に関して言うと、まず毎日の食からはじまり、美術館、個展、音楽、手入れのいき届いた古い建物と橋、混雑している繁華街と並んだ閑静な住宅街と散歩路、毎年繰り返されるのにいつも違った感傷を覚えさせる四季、、、、と限りなくある。どの味見にも相当の時間がかかりそうだ。

最もわたしを引き付けたのは、仕事を通して接する国籍多彩の入たちとの出会いである。個性を受け入れ、その人が持つプラスとマイナス面から見い出すその人の持ち味。そんななか、少数ではあるが異文化、言葉を越え、心情的共感でつくられた友情があった。その友情は信頼に繋がり、さらに思わぬ面を知るすばらしさを与えてくれた。もう一方では、理解できないまま去って行く人や、”何でも可能“と言われるパリに飲み込まれ、自分自身を失ったかのように空虚に生きている心許無い人にも会った。パリは、私たちに、そして私たちが自由自在に調理する材料とチャンスを投げかけているそんな都市なのだ。

これからも味わい方次第で一層楽しくなるパリの発見や体験を自分に反映していきたいと思う。

LePont5の掲載作品を読者皆様のそれぞれの立場で味わっていただけることを願っております。