シャルル・ミッシェル・サントラ

2002/12/11 (��) 09:59 | Arts Vues, Le Pont

天と地と水、、、偉大すぎる地球の風景を凝縮し、そのつかの間の状態を永遠にとどめたい。
画家、サントラ氏の追い求めた、地球の風景に出会いに行こうではないか。
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熱さと寒さ、乾燥と湿気。
ストア学派の哲学者の唱える物理学によると、この四つの性質は火、空気、土、水の四大要素の中に現れ、結合しあっている。
風景をつくる成分が、ここに全てそろっているではないか。太陽、光、空と雲、平野と山脈、川と海、、、そして地平線。
この抽象的かつ理論的だが現実でもある地平線は、天と地を仕切っているとも結び付けているとも言える。
熱や湿気の影響を受け、時間、季節、場所に左右され、かすみぼやけて消えてゆく、
夢想に耽るよう誘いかけるような地平線が私達の目に映る。北海の入り江や高原、砂漠でも。
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風景とは議論の余地のない確かな存在であり、世界の凝縮である。それを不動の一枚の絵にしたいという思いは、おそらく無茶な欲求であり人間の思い上がりでもある。世界の凝縮である風景をさらに凝縮し、そのつかの間の状態を永遠にとどめることなど不可能だ。こうした理由から、私のカンバスに人間が現れることはまずないのかもしれない。人間は、はかなすぎるからだ。人を絵にしてとどめなければならない場合、世界における人間の小ささが目立ってしまうだろう。絵以外の作品に現れる人間が脇役になってしまうのも、そのためだろう。

樹々や建築物の中には、近い将来なくなってしまうものもあるだろう。私の気に入りの風景とは、幻想であっても永続性を感じさせてくれるものだ。その上、大抵の場合、そうした風景の線と量は純粋かつ明晰で、前もって明解単純化の作業が行われている。レアリスムにしても何にしても、全ての絵に必要な抽象化が、既に行われているとでも言おうか。

水彩画、クルミ染料、パステル画。試してみるべき技法は様々だ。風景とその気候から受ける印象を復元することができれば、さらにいい。絵を描くにあたっての形式的な詳細など二の次だ。技法を組み合わせることで、それぞれの特性は多少修正され、そこに多くの可能性が生まれる。どの技法を用いるか、どれとどの技法を組み合わせるかという選択によって、画題の様相が浮き彫りにされる。こうした理由から、私はよく1つの題材を相次いで違った技法、違ったやり方で描いてみる。描いてゆく段階で色々な角度から見て、私が感じるもの、伝えたいもの、わかちあいたいものに一番当てはまると思われるものを保存することにしている。
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シャルル・ミッシェル・サントラ

1929年生,パリ在住
哲学の教師になる前、4年間、印刷所に勤めてグラフィックアートの初歩を身に付ける。
常に絵を描き続け、パリのアトリエで自身の技法を究めている。