重層

2005/09/18 (��) 02:44 | Kaléidoscope, Le Pont

反射、屈折、回折の固有な特性に従いながら、おのおの光をかすかに通す縦横に並べた無数のシンプルなガラスのマトリックス。このような光学オブジェを想像してみよう。このマトリックスを通して知覚される像は、従って特性の空間的形態によって決まる。

このマトリックスに、第二のマトリックスを重ね合わせる。そして、水平に張りつけられた二枚の同一のガラスが、あたかも一枚のガラスしか存在しないように、変わりなく光を通すと考えてみよう。何枚も重ねた同一マットリックスが、従ってただ一つのマトリックスと同じ像を生じさせる。

逆に、横に重ねられた二枚の異なるガラスは、それぞれの特徴的構造に従って光を通し、マトリックスが分離されて、一枚一枚になった時に生じる像とは異なる像を生じさせる。

知覚マトリックスの重なりとして、精神を理論的モデルで図式的に表す・・・

状況を客観的に評価するために必要な距離は、特に様々な遺伝的特性や文化的影響が主観の大渦巻の中でぶつかり合う十字路において、一つの知覚方法から別の知覚方法に動くことができるダイナミックな精神を必要とする:

  • 文化的マトリックスから離れる距離
  • マトリックスの外形の比較による評価

同化に必要な調整は、固有性レベルで技術的に行なわれる。

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湖から富士山の眺め,(心象風景) パトリック L.アルクエット


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家紋”百合と菊の花” パトリック L.アルクエット

遺伝的特性 : 私の父はフランス人の父と日本人の母との間に生まれた。その父とフランス人の母の間に生まれたのが私である。生後二ヶ月の時からずっと外国文化の影響に浸る

  • 1962-1964:タイ
  • 1964-1968:日本
  • 1968-1973:オランダ
  • 1973-1978:モロッコ
  • 1978-1983:フランス
  • 1983-1984:ドイツ
  • 1984-1987:フランス、ドイツ
  • 1987-1990:アメリカ
  • 1990-2005:フランス

父方の祖父アンリ=ニコラ・アルクエット(戦功十字賞)が、帝国空軍(神聖国宝勲章)の指導員として日本航空隊フランス派遣団の一環として日本に出発したのは両大戦間のことであった。彼はアベ チヨコと結婚し、二人の間にイヴォンヌと私の父であるジャン=マリーが生まれた。第二次世界大戦下の軽井沢は非常に悲惨なもので、特に飢えに悩まされた。その後、家族は横浜の高級住宅街「ブラフ」に移り、次いで祖父母はタイのバンコックに居を構えた。

父のキャリアは東京(羽田)のノースウェスト・エアーラインのエージェントからスタートし、パリ(オルリー)のフランス国営会社エールフランスに合流する前に、インドネシアで兵役に服した。その後、バンコック、東京、アムステルダム、カサブランカ、(パリ管轄下の)ハンブルグ、そしてプラハで捜査官(航空勲章、国家功労賞)としてキャリアを終える。父はスチュワーデスのモニック・ヴィヤールと結婚し、パトリック、フランス、マルクの三人の子どもを持ち2003年1月22日にパリで亡くなった。

エンジン装備関係会社エールセル(サフラン・グループ)のアフターサービス部門の責任者として、私は営業において技術上の管理業務に必要な行動計画、すなわち納入業者、エンジン専門の修理工、飛行機の機体組立工、航空会社・・・間における全体的コーディネーションを行い、それを実行に移す仕事をしている。

祖父の代から続く国際的分野における航空関係の仕事。
青春時代からすでに、この分野のユニークな点に気づいていた。未熟なこの年齢ではその理由をとうてい分析することはできなかったが、それでもマークし、共感を覚え、そして少なくとも直感的に認めていた。少しずつ他のいろいろな文化に視野を広げるにつれ、私の関心はますます高まった。

今の私の分析は、普遍的な理想へと収束するキリスト教とデカルト的感化を受けた西洋的ビジョンと観想と瞑想に感化を受けたアジア的ビジョンの重層性に基づくものである。
国外移住のおかげで得た文化的影響は、状況というよりも浸透に近いものであるが、それでもやはり、ヨーロッパの合理主義、アジアの儒教、アメリカの実証主義などから生まれたコンセンサスによる判断力の基礎として重要であることに変わりはない。

この文化の十字路に投影し、そこで表現するための手段としての芸術。
光学的・幾何学的隠喩に富んだ一考察とグラフィックアートの間には、類似点がある!
デッサン、C/DAO(コンピュータグラフィックス)、絵画、写真、デザイン、時には文字:子どもの頃から、思い出、印象、雰囲気(風景、静物、風俗)などを再現したり、想像上のオブジェ(飛行機、船、自動車、家)を設計したり、技術的、商業的、芸術的イラストレーション、「家紋」やその他の様々な紋章をもとに創作することに真の情熱を傾けてきた。そして少し前からは、朝日新聞(コピーライト:Asahi Haikuist Network)* に英語で「俳句」を定期的に発表している。
ひらめきは自分でコントロールすることができない!これは偶然にぱっと脳裏をよぎり、感情のほとばしりと同じで、さめたり濃さが薄くなったりする前にその場で処理しなくてはいけない・・・多くの場合思いがけない時に、しかも取り返しがきかない状況の中でパッタリ出会うめったにないチャンス、しかもその時の有利な条件を全部ひっくるめて・・・

私は日本人の手厚いもてなし、東京(六本木)の私の家のこと、羽田(もちろん飛行機を見るために)での散歩、鎌倉、箱根、葉山、横浜、父の黒塗りのプリンス・グロリアに乗ってあちこちの村々、自然の風景、最近のことでは富士山に昇ったことなどを思い出す。雨の藤沢を立つ前、いとこのトニーの奥さんのクミコさんが、「がんばってね!」と叫んだ。翌日、私は噴火口から、火山の雄大な規模をなお推測させるにたる五合目付近に、神々に支えられた一面の雲の大海原から太陽が昇るのを見た。威風堂々とした・・・この時から私の俳句が始まったのである。それ以来、私のデッサンの背景にはたいていの場合俳句が入っている。巨匠北斎や広重の浮世絵に見られるように。永遠のシンボルとして?国の守護神として?タブーな質問・・・

形而上学的瞑想と禅・・・

哀愁も加わり、京都の地恩院、大仙院、竜安寺の静謐な境内に恵まれ、年とともに失われ変質してしまった連係が脳の化学物質の作用によって修復されると、記憶の底に眠っていた本能によって、感動の抑制、集団認識、運命、秩序、謙虚さ、尊敬、誇り、名誉と言った精神的遺産を私の意識レベルで感知し、言葉を話さないにもかかわらず文化に深い感動を受け、日本の愛国心の起源に興味を持った。いくつかの点から見てニーチェ的で、クラウゼウイッツ的な大和精神(魂)と武士道、靖国神社参拝に関する論争で、小泉首相は釈明を要求されるが、それでも経済面での統合力(万歳!)によって陶酔させられる。

譲歩もせず、妥協もせず、ましてや再検討もしないまま組み入れる柔軟な同化ではない。それどころか、両立でき相補的な美徳、関係、価値とギリシャ・ラテン、ドイツ、ケルト、スカンジナビア、スラブ、アメリカなどの影響を受け、すでに多種多様な文化的側面を持つ西洋的体系との間の共鳴による柔軟な同化である。
外形を調整することで、世界の現実的ビジョンを全く混乱させないマトリックスの重なり合い。

このエッセーを、母、亡き父、家族、人類、地球に捧げる。

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アンリ・ニコラとチヨコ・アルクエット


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アルクエット 富士山 3776メートル(2003年7付月)

パトリック L.アルクエット

パリにて、2005年5月

Rationale: While climbing Mount Fuji (Fujinomiya Route), early this morning of July 2003, a white JAL “Tsuru” (Boeing 747) cruises by quietly and majestically…

Rationale: The world of aviation, a family thing… Multidirectional jet trails cross in the skies like ephemeral “life segments” weaving mankind’s eternal “trek”: The quest for the truth

Rationale: In their odyssey, souls of the northern hemisphere proceed now in the very darkness of the fall season according to Kepler’s Laws: Popular mechanics and yet mystical patterns… Pagan worships and yet philosophical inductions… Momentum, continuum…