Thinking

オルシェーズ植物園修道院

2014/08/30 (��) 15:57 | Thinking, Walking

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私には、フランスで親しくなったフランス人の友人デニスさんがいる。最近会ったのはもう2年前だが、時々交わすメールでお互いの近況報告をしている。その友人デニスさんに初めって会ったのは、2003年日本で個展をする事になったので日本語を習いたいと事務所に訪ねて来た。年格好も私と同年代で、しかも幼少の頃カイロに住んでいたと知って、私もカイロに住んだ事を告げ、“あそこ知ってる?、ここ覚えてる?”….で、すっかり意気投合。お互いにとても身近に感じた。その後すぐ日本語の勉強を開始した。日本へは、2年の間に3回東京にある画廊が彼女の個展を企画した。一度は私の一時帰国と重なり彼女の個展会場へ家族と行った。そして食事を共にし、埼玉県の和紙作り工房へ案内したこともあった。
彼女のテンペラ画は暖かく見る者を和やかにすると思った。私のパリのアパートには幾つもの彼女の絵画が飾ってあった。

彼女は羨ましいほど素敵な友人に恵まれている。私にその友人たちを紹介してくれた。お陰で著名なドイツ人の画家や文学に詳しいフランス人、芸術批評家、雑誌の編集長など様々な職業の人たちと知り合いになれた。
その中でも特に彼女が尊敬する30年以上のお付きのあるトゥルイユ夫妻がいた。トゥルイユ夫妻はパリに住んでいるが、ブロア地方にカントリーハウスとして別荘も持っている。別荘と言ってもそれは歴史の遺産と言っても過言でない素晴らしい別荘だった。

或る5月、デニスさんに誘われてトゥルイユ夫妻の別荘を訪ねる事になった。パリのオステルリッツ駅から電車で2時間弱。ブロワ駅(ブロワはロワール・エ・シェール県の都会 Loir-et-Cher)には、ご夫婦が車で迎えに来てくれた。挨拶をかわし、すぐ世界遺産のロワール古城の中でも必見のブロワ王城を案内してくれた。ルイ12世の居住した城だ。建物、歴史、風景に圧倒されながら小一時間を過ごした。そしていよいよそこから約から11キロ離れた別荘のある近郊のオルシェーズへ向かった。

別荘は、驚いたことに、植物園となった大きな庭のある17世紀以前の家で、かつて修道院の一部だった。横にはチャペルが建てられていた。本当に古い骨董品を眺めるようだった。修道院であった建物の内部は住居として暮らし易いように手が加えられているようだった。広々とした居間、食堂、台所などがあり二階は数多くの部屋があった。その部屋から眺める庭の植物園は尋常ではなかった。15世紀か16世紀の歴史を背負った修道院が自分の家となりそこから庭園の植物園を見下ろすなんて…. 普通じゃ考えられない !

植物園の見学の前に腹ごしらえと、トゥルイユ夫人が料理してくれたスープ、野菜、牛肉、デザートをごちそうになった。さらに食べ物の味や食器までなにか中世後期の人々の生活を味わっている錯覚に陥ってデニスさんとコソコソしゃべりその頃の人々の様子を想像して可笑しかった。

昼食後、トゥルイユ氏の案内でチャペルそしていよいよ3ヘクタールの広い庭園を散策 することになった。花や樹は1600以上の種類で3000本の花や樹だ。そしてトゥルイユ氏自身が庭で働き、植えたり刈ったりして季節感を出すようにしていたと言っていた。ゆっくり歩きながら花、樹を鑑賞、途中に池があり、奇麗に整頓された大小の花壇、数十本余りの大きな樹の茂る固まりが所々にある。奥へ行けばそこから下方に別の町を眺めることができる。こんな平和な場所を経験したことは今までになかった。自然満杯の中でベンチに腰掛けてゆったりした時間を満喫した。今はどうかわからないが、当時は春の数週間限定で公衆に開放していると聞いた。パンフレットにオルシェーズ植物園修道院とあった。

以下http://www.orchaise.eu/histore から引用。(サイトに付いている翻訳機能を利用した)。

『植物園修道院Orchaiseはシセの谷を見下ろす、3ヘクタールの公園で、Marmoutiers尖塔の僧侶によって1060から構築された小説に裏打ちされた。 ヒューバートTreuille、植物学の愛好家や世界の旅行者は、世界各国からの植物の2,000以上の品種を集めている。
訪問者は、その美しさのために選択された調和のとれたアマチュアアセンブリ牡丹、モクレン、角状カエデ、桜や「カニの木」、蓮の池やスイレン、バラと数え切れないほどの希少な茂みを、お楽しみいただけます。 咲く、樹皮、香水、素晴らしいショーの月までの月から新たなゴージャスな紅葉』

トゥルイユ氏は頻繁にアジア諸国を旅して植物を集めたと聞いた。ヒマラヤ山の登山にも7、8回挑戦した(70歳過ぎても登山したと言っていた)。パリのお宅では、見本箱のガラスケースに収められた蝶、昆虫など数千点の収集。不思議な形と模様のある大小の石ころなどを見せてもらった。
自然を愛し、自然界の営みに精通しているのだ。計り知れない知識の持ち主だ。トゥルイユ氏の目は少年のように輝いていた。

植物園訪問後も交際の機会があった。自然をいろいろな角度から観察した話を私たちに話してくれた。話が難しくなる事もしばしばで人類のおこり等… 話が尽きない。そして後にル・ポンという雑誌に掲載するためグラフィストのHTさんとパリのお宅にお邪魔した事もこともあった。私たちはトゥルイユ氏の話を聞くのがとても好きだった。年月が経ってもいつも思い出す。デニスさん、ありがとう。持つべきものは良い友達だな〜!とつくづく思う今日この頃。

Link : ARCKギャラリーでの展示 / デニス・ザイアン
Link : Le Pont誌上での記事 / ユベール・トゥルイユ伯爵「冒険」