フランスオーベルニュ地方への旅日記 林 悦子

2014/10/21 Tuesday 18:49 | Friends

フランス国内旅行ほとんどの地方を回っていますが、足の便の悪い中央山脈の中にあるこのオーベルニュ、カンタル地方だけ足を踏み入れたことがありませんでした。ところが、最近日本で≪フランスでもっとも美しい村々≫の翻訳がでたり、この地方のコンク村が
世界遺産に登録され、テレビで特集番組があったりで、日本からのお客さまのリクエストで主人が6月にこのコンク村へ行き、えらく感動して帰ってきたので是非私も行きたいと思っていた矢先に、この地方の町で展覧会に出品することになり、ならばオープニングに出席しがてらその辺を回ろうということになりあわてて計画開始。その辺は私のお得意、ホテルの手配、回るコース日程を作りいざ出発!!

8月5日(火)

10時15分 夫と私と愛犬の大ちゃん二人と一匹で出発、平日ということもあり、またバカンスにパリの人は出かけていて、道はガラガラすいすいとブルジュまで走り、お弁当のおにぎりでピクニック、大ちゃんのお散歩、おしっこタイムをして、最初の目的地ボルビック(日本ではミネラルウォーターで知られていますね)へ向けて出発。
あっという間にヴォルビックの隣町RIOMのホテルIBISに到着。チェックイン後早速ボルビック見学、森の中にボルビックの工場があるくらいで何もないところ、水源のところがきれいなパークになっていて、大ちゃんは大喜びだけど・・・・。

ボルビックのフォンテーヌ

ボルビックのフォンテーヌ

公園の一角にボルビックの観光局があり、ボルビック社のミネラルウォーターを全て試飲できるスペースがあり、こんなにたくさんの種類の水を出しているとは知らなかったと
次々に試飲をしてみた、色々なフルーツの香りがするミネラルウォーターもなかなかいけるもんだと感心しながら外に出ると今度はこの地方のチーズの試食、サンネクタールと
カンタルチーズの15種類ぐらいを説明つきで試食6週物、8週物 3カ月物、などチーズの味がだんだんに濃厚になっていくのがはっきりわかって面白かった、大ちゃんと夫は
いい加減にせんかいとちょっと離れたところで呼んでいるけどどうせ見るものもほかになし、親切なお嬢さんが説明をしてくれているので、とうとう全部味見してしまった。
これでお土産はきまり一番好きだった味はサンネクタールの8週物でした。

8月6日(水)

8:30、今日は今回ハイライトの村CONQUES へ向かう200kmぐらいなので
2時間程度と考えていたのが、山道を奥深く入り込み、思ったより時間がかかりお昼前に
到着。山に囲まれた村を入るといきなり小さな村には不似合いなほど巨大なカテドラルが姿を現した時には、思わずわ~!!と声をあげずにはいられなかった。

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サンフォワ教会の後姿   

どこから見ても絵になる

教会の周りには古い家々が肩を寄せ合っている。バカンスシーズンということもあり、
観光客や巡礼者でにぎわっていた。ここはスペインのサンジャックコンポステラへの巡礼の重要なポイントである。どこを見ても美しくどれだけ写真を撮ったことか・・・。
この教会の目と鼻の先にある小さな可愛らしいホテルにチェックイン、今回のちょっぴり贅沢。

ホテルの部屋から大ちゃんと

ホテルのテラス

大ちゃんと夫はホテルの部屋でお休みしている間に私は一人ゆっくり散策、小さな村なので方向音痴の私でも迷子になることもなく、12世紀にタイムスリップしたような錯覚に
陥るほど、何一つとして現代の手あかが見られない、交通の便の悪い孤立した立地条件の
おかげなのだろう。
夕食の時間になったのでホテルに戻り、ホテルの素敵なテラスでお夕食をした後、今度は夜のサンフォワ教会が特別見学できるというので行ってみると、教会の前にはたくさんの人が集まり、神父様自ら教会の説明をしているところだった。そして普段は登れないトリビューンに上ることができ感動!下からでは見られない柱頭のロマネスク彫刻を目の前に見ることができた。神父さんがひくパイプオルガンを聞きながらライトアップされたトリビューンを一周して、こんな経験ができてもしここで突然旅が終わってしまってもいいほど完結していると思いながらホテルへ戻った。

夜の教会、トリビューンを一周

12世紀の柱頭彫刻を目の前に見られる貴重な体験

8月7日(木)

朝、ゆっくりと教会の鐘の音を聞きながら朝食をとり、今日の目的地ROCAMADORへ
途中、やはりST.CIRE DE LA POPLIE 数年前にフランスで最も美しい村の一番に選ばれたこともあり、この可愛らしい村には外国からもたくさんの人が訪れ、村の中は車が入れないこともあって、駐車場はびっちりと車であふれていた。

ST.CIRE DE LA POPIE

コンク村全景

CONQUES の印象があまりに強烈だったためにこの美しくかわいらしい村の印象が薄れてしまったことは否めない。
目的地ROCAMADORへ向け一時間半の田舎道を行く、岸壁にへばりつくようにあるこの村の全体が見えるホテルにチェックイン後、いざROCAMADORの村へ。

岸壁をくりぬいて教会が建てられている

教会へ上る細い道は人で溢れ大ちゃんを連れて登るのは困難なため、有料のエレベーターで一気に登ることにした。教会内部も人ひと人で、早々に退散、ホテルの隣のテラスのあるレストランで早めの夕食をとることにした。日が傾きかけてもまだまだ明るい。
岸壁の村ROCAMADORの村がよく見える特等席を陣取りゆっくりとロマンチックなディナーを楽しむ。

大ちゃんはテーブルの下でおりこうにしている

大ちゃんはテーブルの下でおりこうにしている。
前菜、メイン、デザートで18ユーロとパリに比べて断然安い!その上この絶景つきでですよ。満足満足!!

前菜のサーモンとカモの燻製

8月8日(金)

ROCAMADORを後にSALERS経由でSAINT FLOUR へ、ところが私がナビに入力ミスをして途中立ち寄る予定のSALERSへかなり遠まわりをして、挙句にカンタル山脈の途中で大雨、強風、雷とどうなる事かと思ったが、SALERSに到着したときには雨もあがり、晴れ間もみえてきた。
そんなこんなで、ちょっと時間がかかりすぎたのと、コンクの後では村の印象も薄く、写真も一枚も撮らずに遅い昼食だけをして早々に目的地に向かった。先ほどとは打って変わって快晴、カンタル山脈が美しい、山頂近くでは火山帯のせいか、木はなくうっすらと苔むしたようななだらかな山がつながり印象的だった。

カンタルはチーズで有名な地方
SALERS は最高級のサレル牛肉で有名

SAINT FLOUR に17時ごろ到着。村自体はどうということもないが、村を取り巻くカンタルの山が素晴らしい。ホテルの部屋からの眺めも最高、なだらかな草原にのんびりと牧草を食むSALERSの牛たちが見える。
夕食はホテルのレストランでカンタルの美しい風景を見ながら、夫はSALERSのステーキを私はちょっとあののびのびと草を食む牛たちを見ながらステーキを食べる気にはなれなかった。

8月9日(土)

今日の目的地はLE PUY EN VELAY、ここで今晩展覧会のオープニングがある。
途中オートルートの表示に BRIOUDE が出ていて予定にはなかったが、この計画を立てているときに、この町がロマネスク様式の教会内部の装飾が完璧に残されているとあったので、時間があったら寄ってみたいところだった。
教会周辺にはパーキングがなく、私だけが教会を見学、内部のフレスコが色も鮮やかに保存され2階の天井画が素晴らしかった。外観は修復中で足場がかかり残念だったが、途中寄ってもらえて本当によかった。

BRIOUDEの教会天井画

目的地 LE PUY EN VELAY にはお昼頃到着。ホテル イビスにチェックインして
センタービルへ、ホテルを出るとすぐにこの町の象徴でもある、奇岩の上に立つサンミッシェル教会が町を見守るようにそびえたっている。
ここの見学はかなりきつそうなので、外観のみにして、ル ピュイ大聖堂へと向かう。参道のような坂道の正面に壮大なカテドラルが見える。幅広い階段を息を切らしながら上がっていくとカテドラルの入口にようやく着く。中に入ってもまた階段を上る、正面の祭壇に、有名な黒いマリア像があった。
回廊は有料、美しい長方形の回廊で11世紀のロマネスク様式、南壁にあるキリスト磔刑図は1200年ごろのものだ。

ピュイのカテドラル

サンミッシェル教会

回廊

黒いマリア像

カテドラル近くの広場でランチをしていったんホテルへ戻り、大ちゃんはホテルでお留守番してもらい、私たちは着替えてオープニングパーティーへ。たくさんの人で会場は溢れていて、永遠とスピーチが続きやっとのことでドリンクとビュッフェが始まったが、人が多すぎてとても近づくことができないので早めにホテルに戻り、ホテルでディナー・・・・
これが大正解!安い定食なのに美味しかったこと・・・今日のメインはルジェというお魚でした。それにしても疲れた! 年とともに人混みがだんだん苦手になってきたようだ。

展覧会会場

8月10日(日)

Puy en Velay をIssoir に向けて出発、やはりここもロマネスク教会で内部のフレスコがきれいに保存されている。ちょうどミサの最中で見学が思うようにできなかったが、入
口付近のみでその素晴らしいフレスコをまじかで見られなかったのは少し心残りだった。

Issoirの教会後ろ側から

そして、最終目的地モンドールへの途中チーズで有名な村サンネクタールに立ち寄り
ちょうど朝市の終わろうとしているところで、あわててチーズを一キロも買ってしまった。
といっても16ユーロとお買い得。そして朝市のある広場には小さな教会があり、

犬は教会には入れないので交代で見学

この地方は中世において、スペインのサンジャックコンポステラへの巡礼の重要なポイントの教会が数多く、それも保存状態のよさとこの地方の特徴のあるロマネスク様式が美しく感動的だった。主人も大ちゃんも教会はもううんざりだったようだが、私は一人興奮状態で写真を撮りまくっていた。
そしていよいよ、最終目的モンドールは冬はスキー、ハイキング、登山そして昔からの温泉療養地としても19世紀に栄え長期滞在する人が多いが、私たちは素敵なお庭のある静かなホテルで2泊の予定。

ホテルの庭

早めにホテルチェックインして、一休み、主人は大ちゃんとお昼寝、私はせっかくプールがあるのでひと泳ぎして、食事に出た。お昼にしっかりとチーズ料理だったので、私はシュウファルシー、夫はしっかりステーキでフルコース、大ちゃんはお部屋でドックフード。

8月11日(月)

今日の予定はモンドールでハイキング、といっても大ちゃんと一緒にリフトに乗り一気に山頂へ、そして山頂付近をハイキングなのでハイキングといえるかどうか?

山頂付近

視界には遠い昔の火山の山々が広がり、冬にはスキーのゲレンデとなる。気温9度少し肌寒い。下山をして、サンドイッチを買って、ホテルの庭で食べていたら、お節介な長期逗留のマダムが、私たちが外部の人たちで勝手にホテルの庭でサンドイッチを食べていると思ったらしく、不審そうになんでここにいるの?と主人に言ったので私たちここに泊っているんですと言ったのだけど、どうも納得できていない様子。私たちって難民みたいに見えちゃうのかとちょとショックでした。翌日の朝食でそのマダムと一緒になって、納得したようでした。

確かに難民

午後は近くの森の中に滝があるとホテルの人が教えてくれたので、お散歩がてら森へ、
素敵な散歩コースで大ちゃん大喜び。
今日の夕食はイタリアン、サラダとパスタ。重たいフレンチが続いたのでそろそろ限界、イタリアンはなぜかホッとする。
今日がこの旅の最終日、明日はパリへ、車で行くちょっとおおちゃくな巡礼でしたが、充実したいい旅ができました。やはり何といってもコンクの村が強く強く私の心に残りました。

林 悦子 Etsuko Hayashi






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